日本人が横書きの必要性を感じた200年前。『蘭語訳撰』や『和英商賈対話集』などの編纂に挑んだ先人たちは、欧州の言葉に合わせるため、縦書き文字を90度横に倒して並べるといった試行錯誤を繰り返してきました。明治に入り活版印刷が主流となると、正方形のボディを持つ活字によって横組みは容易になりましたが、それは本来連綿と縦に続いていた仮名を四角い枠へ閉じ込める定型化の始まりでもありました。ゆえに、横に並んだ仮名文字からは、横への筆致の流れが失われていきました。以来150年。デジタル端末の普及によって横書きは日常となり、広く親しまれるゴシック体は、今のウェブにおける標準となりました。書体はよく食べ物に例えられますが、明朝体が「お米」だとしたら、ゴシック体は「パン」のような存在かもしれません。毎日パンを食べているような現状において、スクリーン環境が整いつつある今、デジタルでもお米を美味しく味わえるような、情緒ある書体を作れないか。そんな問いから「あおなみ」は始まりました。平安朝の古筆を源流に情緒を求め、その筆の運びを現代の横書きの視線の流れへとつなげようと試みた書体です。